英語多読のやり方:辞書を引きすぎずに始める7日間の手順
英語多読を始めるための素材選び、辞書の使い方、記録の残し方を、精読との違いも含めて具体的に解説します。
英語多読は、英語の本をたくさん読むことではない。大事なのは、止まりすぎずに意味を追える文章を、繰り返し読むことだ。難しい小説を一冊買い、知らない単語を全部調べる方法は立派に見える。しかし多くの人にとって、それは多読ではなく、長い精読になる。
多読の目的は、単語帳で見た知識を、文の流れの中で何度も出会える知識に変えることだ。完璧な理解より「次に何が起こるか知りたい」と思えることを優先する。このページでは、最初の一週間に迷わないための手順を示す。素材がまだ難しいと感じるなら、先に英語多読の初心者向けの選び方を読んでほしい。
多読と精読は、同じ「読む」でも仕事が違う
精読では、一文の構造や時制、なぜその前置詞なのかを確かめる。試験対策や、苦手な文法を直すときに有効だ。一方の多読では、細部が少し曖昧でも話を進める。理解が七〜九割くらいあれば十分で、残りは場面、繰り返し、次の段落から補う。
だから多読中に「この関係代名詞を説明できない」と気づいても、そこで授業を始めない。意味が追えるなら印だけ付けて進む。後で一つだけ調べればよい。両方を混ぜると、読む量も分析の深さも中途半端になりやすい。精読と多読の使い分けを決めておくと、罪悪感なく飛ばせる。
始める前に決める三つ
まず、10分で一区切りが付く素材を選ぶ。初日は児童向けの短い話、会話中心の物語、学習者向けのリーダーがよい。「洋書」を読むこと自体を目標にすると、ページ数や装丁に引っ張られる。初めての洋書の選び方は英語洋書を読む初心者向けの記事にまとめた。
次に、辞書を引く条件を一つだけ決める。人物関係、出来事の原因、否定や時間を左右する語だけを調べる。それ以外は丸で囲むか、何もしない。三語調べても筋が戻らないなら、その素材は今のレベルより上だ。
最後に、小さな単語リストを用意する。一日に書くのは二〜三語まで。繰り返し出た語、話の鍵の語、自分が使いたい表現だけに絞る。初見の語を全回収しないことが、翌日も開ける仕組みになる。
7日間の開始プロトコル
1日目は、短い話を止まらずに一度読む。読後に日本語で「誰が、何をしたか」を一文で言えれば合格だ。2日目は別の短い話を読み、辞書を引いた回数だけ記録する。回数が多ければ、短く易しい素材へ下げる。
3日目は、前日に読んだ話をもう一度読む。新しい単語を増やすより、前より速く意味が取れる感覚を確かめる。4日目から6日目は、一日10〜15分で新しい話を一つずつ読む。気になる表現を二つだけ残す。7日目は、今週読んだ中で一番面白かった話を再読し、最初より自然に読める箇所を探す。
量はページ数で競わない。毎日「終われた」ことを記録する。多読が続かないときの立て直し方も、週の最初から知っておくと、二日休んだだけで計画を捨てずに済む。
分からない単語への正しい反応
知らない単語を見たら、まず前後を読む。動詞らしいか、人物の感情か、物の名前かを推測する。次に、その語がまた出るか待つ。それでも場面が分からないときだけ、英英辞書か短い日本語の補助を見る。調べた後は必ず原文に戻る。訳だけ見て次へ行くと、英語の語順を読む練習が消える。
対訳や辞書を近くに置くことは、ずるではない。自分で止める場所を決められることが重要だ。短い物語で原文と補助を行き来したいなら、LinguaLexのように一文ごとに支援を確認できる形式も、多読の入口として使える。ただし、補助を先に読まないという順序は守りたい。
一週間後に見直すこと
一週間続けても「一段落で完全に疲れる」なら、努力不足ではなく素材の設定が高すぎる。逆に、ほとんど考えずに読めて退屈なら、少し長い話か好きなジャンルへ進む。効果を急いで判定せず、英語多読で期待できる効果を目安に、四週間は同じ型を続けよう。
多読の上達は、辞書を引かなかった日ではなく、英語のまま話を最後まで追えた日から始まる。まずは今夜、短い一話を選び、10分で終える。それで十分だ。